現代版桃太郎その9

数年後。。。

桃太郎(22)

今日からお父さんがいた職場で働く。そう、お父さんを苦しめた鬼に仕返しをするために僕はこの会社に入った。僕の名前が桃太郎だからみんなの期待通り鬼退治というわけさ。

とは言うものの、新人の僕が社長である鬼を退治するのにはいささか時間が必要だ。これから地盤を固めていかなければならない。まずは仲間が必要だな。入社式の時目ぼしい奴いは唾をつけておいた。

まず、一人目はオリエンテーションで隣の席になった犬井だ。こいつはどういうわけか僕になついてくる。こういう従順な奴は仲間に入れて損はないだろう。

次にキジ谷だ。こいつは派手な見た目でのっけから社内の女性社員を虜にしている。女共は後々使えると踏んでいる。

最後に猿田だ。こいつはほんとに口が上手い。恐らく同期の中でも1,2を争うほどに出世頭となるだろう。後々こいつを鬼の懐刀にしようと思っている。

もちろん、この三人もなんのメリットもなければ、僕に付いてきてはくれないだろう。僕は株でそこそこの資産をすでに形成しているので事あるごとにこいつらに飯を奢ってやり、はぶりの良さを見せつけた。新人サラリーマンが行けないような高級店にもたびたび連れて行った。友人にしてもなんにしてもメリットのある人間としかつるまないというのは真理であろう。

そういった不断の努力のかいあって、三人は僕の言うことをよく聞いてくれるようになった。