現代版桃太郎その3
桃を割って陽子は悲鳴を上げてしまった。
なぜなら、本来種の収まっているであろう場所に男の子が収まっていた。
目の錯覚かとごしごし目をこすってはみたものの、それは紛れもなく男の子だった。
突如その子が「オギャーオギャ―」と泣き始めたので、抱きかかえはしたものの赤ちゃんのあやし方など陽子は知らない。とりあえず、近くのドラッグストアで粉ミルクのセットを購入し、赤ん坊に飲ませるとすぐスヤスヤ寝始めた。“可愛いなぁ”今の状況は異常なのだが陽子は心からそう思った。
ふと時計をみると8時半を示していた。陽子はとにかくこの状態でパートには行けないと思い、店長には体調が悪いので休ませてくださいと連絡した。
赤ん坊の寝顔を眺めてどのくらいの時間が経っただろうかハッと我に返り、とりあえず旦那に連絡をしてみた。