ネコウオ珍道中

ネコとサカナの人生探訪。

現代版桃太郎その6

2週間後。。。


妻の検査結果が出た。懸念していた若年性アルツハイマーではなかった。

ほっとしたのと同時に、それではあの赤ん坊はほんとに桃から生まれてきたのか?という疑問が浮かんだ。脳ドッグを無理やりやらせてから妻の態度は冷たい。結果が出たので尚更だ。妻を信じてあげられなかった自分を後悔したが、それでもやはり自分の家に急に見知らぬ赤ん坊がおり、その上桃から生まれたなどと宣われたら誰でも困惑するに違いない。


妻の検査結果が分かった頃、警察からも連絡があり、あの子の両親が見つからないのでとりあえず乳児院に預け、里親になってくれる方を探すという話を聞いた。それを妻に伝えると、「だったらうちで育てましょう」と提案された。俺は45歳、妻は47歳。確かに妻の自然妊娠は厳しい、俺だって子供が嫌いなわけじゃない。ただ、そのチャンスに恵まれなかっただけだ。そう考えるとこの子を養子に迎えるのもあながち悪くはないように思えた。


ただ、最近の機嫌の悪さは俺の失態だけでなく、正直更年期も入っている気がしている。そこに子育てという肉体的にも精神的にも重労働を妻に課せて良いものかという不安もないわけではない。そのリスクを負ってまで養子を迎えるべきかそのことが隆の判断を鈍らせていた。


しばらくして、一度乳児院へ二人で足を運んでみることにした。その日、妻はここ最近では一番と言っていいほど機嫌が良かった。自分のバイト代から赤ん坊の為に子供服まで用意していたほどだ。


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